ドイツでアジア人差別はあるの?傾向と対策を考える

こんにちは、ドイツ留学コンシェルジュの松本です。
いまベルリンに来ているのですが、地下鉄に乗っていて出くわしたちょっとした出来事から考えることがあったのでそれについて書いてみます。
何気なく乗った地下鉄。私が立っていたドアの横の向かい合わせの二人掛け席。(日本だとよく優先席になっているような席)
そこに20代くらいのアメリカ人4人が向かい合って座って結構大きな声でしゃべっていました。観光客なのか、ベルリンのネタにしたりして下品な笑い声が車内に響いていました。
とはいえ、観光客にしても住人にしても、ベルリンには本当に色んな国の人たちがいるので、街中や電車の中でドイツ語以外が飛び交っていること自体はちっとも珍しくありません。(今これを書いているカフェもなぜかフランス人で溢れていてドイツ語よりもフランス語が優勢です。)
そこに隣の車両から中年の(たぶん)ドイツ人女性が歩いてきて、なんと、堂々と中指を立てながら彼らの前を通りすぎていったのです。
アメリカ人4人は顔を見合わせて「OMG!!見た、今の!?僕たちに向けてやったの?」的な表情で顔を見合わせていました。
いい大人が真顔で見ず知らずの人たちに中指を立てて不快感を表わすという目の前で起きたシュールな光景に、驚きつつもなんかベルリンらしいなぁ~と内心クスりとしてしまったのですが、された方としては全くもって気持ちのいい出来事ではないですよね。
その女性は満足げなすまし顔ですぐ近くの席に座ったのですが、単純にうるさい若者が嫌だったのか、英語もしくはアメリカ人が嫌だったのか。
おそらく後者なんでしょう。
この光景を傍目で見ながら頭に思い浮かんだのが、お客様から時々聞かれることがある「ドイツでアジア人差別はありますか?」という質問。(今回のはアジア人相手でなくアメリカ人でしたが。)
まぁ、この女性が外国人差別だったのか否かを差し置いても、こんな風に他人に対する嫌悪感を表現しちゃうなんて大人げないというかちょっと変わった人なのだと思うので、こんなのが日常茶飯事起きるわけではないですが。
最近は極右政党の躍進が報じられていたりもしますが、個人的にはドイツで外国人差別的な雰囲気があるとは感じません。(地域にもよるのかもしれませんが)
ドイツは人口の訳4分1が移民というだけあって、ベルリンをはじめとして大きな都市では移民や外国人労働者も多いですし、外国人に対してもとても寛大な国だと感じます。「ドイツ人優しいなぁ~」と感じることも多いです。
とはいえ、留学中ときには差別的な対応を受けてしまうこともないとはいえないので、今回の出来事から考えたことを書いてみます。
目次
アジア人に対してだけでなく差別はゼロではない
今回、ちょっと印象的だったのはアメリカ人4人はいわゆる白人だったこと。ぱっと見外見だけならベルリンの若者と見分けはつかない感じでした。
差別というと、私たちは違う人種に対するものをイメージしがちではないでしょうか。でも今回は白人同士。人種に関わらず嫌悪の感情が生まれることはあるということですよね。
人間である以上、それを言動に表わすか否かは別として、嫌悪感を抱いてしまうことはやむを得ないんだよな。差別っていうと大げさだけど、そもそもは他人に対する嫌悪感なんだな、なんてことを改めて考えたり。悲しいかな差別感情を抱く人、さらにはそれを言動に出してしまう人は世の中にゼロではないわけです。
である以上、留学中にドイツ人から冷たくあしらわれる経験をしたり、差別的なことを言われたりすると「アジア人だから差別されたんだ」とすごく落ち込む、悲しい気持ちになってしまうことがないともいえません。
特に留学中は、日本とは違う環境での生活、言葉が思うように上達しない、などストレスとなる要因も多いので、好ましくない出来事に遭遇した時にネガティブにとらえやすい精神状態になりがちです。
だからこそ、人によっては(アジア人というよりは)外国人に嫌悪感を抱く人もいるんだってことをある程度前提として受け入れておいて、そういう経験をしてしまったときにもあまり悲観的にとらえすぎない心の準備をしておくといいんじゃないかなと思います。
出来る限りドイツ語を使ってみよう
留学やワーホリでドイツに滞在する場合、特にドイツ語がほとんど分からない渡航初期にはお店など生活の中で英語を使いたくなってしまうこともあるかと思います。
でもだからといって、当たり前のように英語でコミュニケーションしようとする態度はあまり気持ちよく受け取られないんじゃないかと思います。いくら英語を理解できる人が多いとはいえドイツ語の国ですからね。これは外国人が少ない小さな街でのほうがその傾向が強いと思います。
やっぱりどんなにつたなくてもドイツ語で話す努力をする方が好意的な対応を受けられるのではないでしょうか。自分の国の言葉を話そうとがんばっている人には温かく対応してくれる人が多いはず。
これはドイツに限らず誰だってそうですよね。私たちだってきっと、日本なのに外国人に外国語でガツガツ話しかけられたら「ここは日本なんだから日本語話してよ!」って思うのではないでしょうか。まぁ、観光客が増えている昨今は英語には寛容な人も増えているとは思いますが、それでも片言の日本語でも日本語を使ってくれる人には好意的な感情を抱きますよね。
空港の入国審査官ですらドイツ語で返答すると「あぁ、君はドイツ語話せるんだね!」って柔和に対応をしてくれる人が多いです。
できるだけ塩対応を避けるためにも、留学、ワーホリに言ったら頑張ってドイツ語を話すことを心がけるとよいと思います。
マナーの問題
今回の出来事に関しては、アメリカ人たちが地下鉄の中で周りが不快に感じるくらい大声でしゃべっていたっていうのも原因かなと思います。
差別云々というより、単なるマナー違反ですね。ドイツの電車の中のマナーは日本に比べたら遥かに自由で、おしゃべりや携帯での会話も至って普通のことですが、マナー違反+外国人となると嫌悪感を抱かれやすくなってしまうのかなと。
公共の場で騒ぎすぎないといった比較的どこの国でも共通のマナーなら分かりやすいですが、文化の違いによって知らずにマナー違反を犯してしまう可能性もあります。
日本人がドイツ生活で最初に戸惑うマナーとして、チップ文化があります。
ドイツではレストランやホテル、タクシーなどサービスを受けた時に10%程度のチップを渡すのがマナーですが、慣れないとつい渡しそびれてしまったり、渡し方が分からなくて渡せなかったりということはよくあります。
チップを渡さなかったからといって嫌な顔されることはないように感じますが、逆にちゃんとチップを渡すとものすごい喜ばれます。
私は小銭のお釣りをもらうのが面倒なので、カフェやレストランだけでなく、パン屋さんやマーケットなどでも端数は切り上げてお釣りを断ることが多いのですが(例えば1.8ユーロだったら2ユーロ渡してお釣りを断る)、ほんの数十セントでも店員さんたちは満面の笑みでdanke schön!
と言ってくれます。数十セントでそんなに喜んでくれるの!?ってくらいの反応を見ると、アジア人の私からチップをもらえるなんて期待されてなかったゆえにギャップでこんなに嬉しそうにしてくれるのかしら?なんて思ったりもするのですが、笑顔でありがとうと言われるとこちらもとても気持ちがいいものです。
チップは相手も自分もハッピーになれる便利な?文化だったりするので積極的に活用するのをおすすめします。
さいごに
差別というちょっとセンシティブな話題ですが、自分が遭遇した出来事から考えるいい機会だったので書いてみました。まぁ、今回のようにあからさまな嫌悪感を態度で示されることは稀だと思いますが。
もし留学中に嫌な体験をしてしまっても、「こんなこともあるよね」とあまり気にせずに受け流すのが一番です!